
《流れの淀み》 F8 2005
初期の教室の頃に何回か写生に出かけた千代田湖である。ここは甲府市だが、盆地の北側をかなり急激に上らなければならない地点にある。夏の一日で、湖面には、ヘラ鮒つりのボートが日除のパラソルを広げて賑やかである。遠景もなんか気にいらず、あちこち眺めていたが、ふと、足元に目をやると、湖面なのにどうやら、流れがあるらしく、一本の杭に藻が絡まっていて、それが流れに任せてゆらゆらと揺れている。その周りの湖面には、夏の空が映っている。杭だとばかり思っていたものは、下から突き出ていた枯れ草の茎だった。夏の日の一日に、甲府盆地の喧騒を離れて、こんな近くでこの静けさを味わおうとは、思ってもみなかった。