
《春懐》 F40 2006
ここには描かれていないが、画面右側、土手の続きに、以前描いたことがある、この地区のと思われる墓地がある。中央の窪地は、その墓地で葬儀に使われたであろう、竹の枝や飾り物などを捨てるためにあると、私は推測したのだが……。
描きながら、ふと「風葬」という言葉が浮かんだ。
大きな作品を描き始める時、まず何から描いていかなければならないか、と考えるのは、重要なことだ。一ヶ月近くこの作品に掛かっていると、土手の枯れ草の中から青々とした新芽が出始め、甲斐駒ヶ岳が春霞のヴェールに包まれる日が多くなっていった。私は、最後に、待っていた梅の花を描き込んでこの絵から解放された。